「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史」を読みました

「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史」を読みました


IT界のサクラダファミリアと呼ばれたプロジェクト

何年も何年も、いや何十年も終わらないプロジェクトを指して、IT界のサクラダファミリアと揶揄されるプロジェクトがみずほ銀行のシステム統合プロジェクトです。 工数が35万人月とか投資が4000億円とか推測されている紛れもない超巨大プロジェクトです。

ネットの求人には見えてる地雷やらなんやら散々なことがかかれており、これ本当に完成するの?と思った人も数多いと思います。 記憶にまだ新しいATM休止による3連休の金欠もありましたが、ついに2019年7月に初期の構想からは足掛け20年近くかけて無事にシステム統合が完了しました。

そのみずほ銀行のシステム統合プロジェクトについてまとめられた本が最近発売され、こちらも界隈では話題になっていたので読んでみました。

みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」

どんな本?

3部構成の本となっており、 第一部はみずほ銀行の新システム「MINORI」構築の歩み、第二部・第三部は過去の大規模障害の内容や原因が書かれています。

技術の話ではなくプロジェクトマネジメントや経営陣を含めた組織体制についての話が大きな比重を占めています。(デスマ的な話は残念ながら出てきません。)

システム開発はコストはかかるが先延ばしにしてはいけない、経営判断が重要だということが何度も何度も繰り返し記載されています。

全体を通して実際のプログラムのような細かい技術的な話はほぼ出てこないため、IT業界やシステム開発に多少馴染みのある方であればすらすらと読めるかと思います。 1つのシステムの障害がどんどん波及して大規模な障害となる様が描かれており、ITの力と怖さ両方を感じることが出来る本だと思います。

読んでみた感想

工数が35万人月とか投資が4000億円とかもはや意味が分からない金額が出てきてITすげー、ってなりました(ぇ

1つのシステムの障害がどんどん波及して大規模な障害となる様が描かれています。

数十年前のシステムには最適化されたシステムであっても、現代の業務に追いついていなかったりハード性能を鑑みていない仕様のまま残しておくことは非常に怖いことだと思いました。 また、閾値などの仕様を残すことも大切ですがテストをきちんとGitなどで管理できる形にしないと、どこかでとんでもないほど痛い目を見るのかなと感じたので重要な部分は意図のあるテストをきちんと書いていかなければと思った所存でございます。

そしてシステムの中心部にはまだ信頼性のあるCOBOLが生きていらっしゃるそうです…。びっくりしたわ…。

 

界隈で話題となり続けたプロジェクトでもあり歴史にも残るプロジェクトなので、後学のためにも一度この本を手に取って見るのはいかがでしょうか。

 

みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」